44. 本能記憶・観念記憶

 私たちの記憶は、本能記憶と観念記憶に分けて考えることができます。
 観念記憶とは、覚えようとして覚えた出来事や、記憶しようとして記憶したことや、学ぼうとして学んだことを脳の中に保存するシステムです。学校の授業や、技術を学ぶことなど、意識しながら社会情勢に則り、観念的に記憶していく方法です。暗記等もその一つとなります。意識を持った努力が必要とされる範囲に属します。
 本能記憶は、意識とは関係なく、勝手に記憶されるシステムです。朝起きて何気ない行動から、お昼に食べた食事の内容や、楽しく遊んだ出来事や、通勤途中に起こったささやかな出来事でさえ、記憶しようとせずに、その記憶が脳の中に保存されることなのです。そして、本能記憶の方が、大きな領域を持ち、私たちは本能的に行動することが容易にできるようになっているのです。
 物事を覚えようとするとき、実は、本能記憶のスペースをうまく使うことにより、努力せずに覚えることができます。逆に、忘れることの方が難しい出来事なのです。
 では、どうすれば、本能記憶の領域を広げることができるのでしょうか。できるだけ肩の力を抜き、自然体で物事を良く見ることです。感じることです。印象付けることです。そして、思うことです。決して、覚えようとはしないでください。ただ感じるだけで良いのです。
 さりげない出来事でも、脳はいつでも動いています。脳みその15%ぐらいしか日常で使われていないといわれていますが、決してそんなことはありません。本能記憶の領域は、その残りのパーセンテージに匹敵するほど、大きなものなのです。そこさえうまく使えれば、天才の領域に入ります。努力は全く必要ないのです。見るものすべて、聞くものすべて、触るものすべて、感じるものすべて、交差しながら絡み合い、複雑な答えをいとも簡単に導いてくれます。
 本来、人間は本能記憶に司られ、生き続けてきて来られたのです。皆その能力を持っています。そして、その能力を今こそ使うべきではないでしょうか。