54. 全部聞いてあげる そこから始まる

 日常生活の中で、たまたま困ったことや、無理難題が発生することがあります。そんなとき私たちは、何かに縋るように、誰かに相談を持ちかけます。それも極めて不可能なこととわかっていても、とりあえず、話してみようと考えます。
 聞く側は話の途中で、「そんなのダメよ」と言ってしまったならば、全てが終わりです。相手はあくまで、困った上での、相談事なのです。中には、欲の世界で、無理難題を通そうとする人もいますが、そういう人ばかりではありません。
 本当に困っている人が居た場合、その理由は何であろうと、その会話が持ちかけられた場合、まず最初にしなければいけないことは、全部聞いてあげることです。そして、相手の立場に立つことです。相手の立場に立たなければ、何もわかりません。
 相手の立場に立った時、その深刻な悩みが自分の想いと同化し、苦しみの中に共有した意識を持つことができます。「本当に困ったね」と自分の中でも相手の苦しみを理解することになる。その上で、解決方法がなくても、相手を納得させ安らぎの想いを与えることができるのです。
 そんな優しさの中で、人間関係が繕われたならば、決して争いは起こらないはずです。相手の立場に立ち、無理なことでも一度は理解し、叶わないことであっても、一緒に悩み、解決方法がなくても、何か糸口を模索することが大切なことではないでしょうか。
 初めからダメとわかっていても、不可能なことであっても、一度は全部聞いてあげて下さい。そこから新たな人間関係が、生まれてくることでしょう。
 人間は本来、そうでなければならないのです。人間だからこそ、できることなのです。
 ただたた聞いてあげるのです。
 聞いてあげることがどんなに大切なことか。いつか聞いてもらう立場になる時だってあるのです。