55. 顔はもの凄いおしゃべり

 人類がこの地球に誕生し、長い歳月の中でもっとも過ごし易く、多くの人たちとコミュニケーションをとるために様々な工夫がされてきました。
 そして今、私たちはその経験の中から、最も都合の良い状態で社会生活を営んでおります。人類が誕生して間もないころ、まだそのころは、言葉は存在していませんでした。どうしたら、自分の心が、自分の考えが相手に伝わるのか。その時、大いなる表現方法として、全ての体を使うことを覚えたのです。中でも人間にとって、最も有効的に使われたものが顔なのです。そして、手振り・素振りなのです。
 現在日常生活の中で、その経験は今も息づいております。言葉の無い時にした顔の表情が、言葉よりも多くの感情を伝えきることができるのです。これは人間だけに与えられた、優れた表現方法なのです。良い方に使えば、人を和ませ、とてもそれは素晴らしいことなのですが、乱れた心が顔に反映してしまった時、いくら隠そうとしても、それは隠しきれるものではありません。
 言葉の無い時代に育まれた、その経験は侮ることができません。
 そして、そこを読み取る力、そう相手方がその顔から何を読み取るのか。自分の顔が表現する以上に、相手のその顔からたくさんの事柄を読み取ることができるのです。隠しおおせるものではありません。要するに私たちは、顔で物事を表現し、感情を表し、想いを伝えますが、それと同時に、それを読み取る力が備わっているのです。
 当たり前のことなのですが、これは人間だからこそ読み取れる能力の一環なのです。
 注意すべき点は、その辺にあるのではないでしょうか。いくら言葉で、きれいにまとめても顔は、その人のウソを、的確に表現してしまいます。私たち人間は、自分の顔にはウソをつけないのです。なんて顔は正直者なのでしょうか。
 心に「嫌だな」って浮かんでしまうと、言葉でどんなに繕っても、顔は「嫌だな」と言い続けてしまうのです。