92. 主体と客体

 誰もがみな、たやすく物事を判断しようとしたとき、自分からの見方で、それをより深く理解しようとするのが普通ですが、ここでは一つ、考え方を変え、自分を主体ではなく一度客体に置き換えてみたら、要するに自分をお客さんという形にすることにより、向こうからどう見られているか、またどう思われているか、そんなことを一つ、考えながら実行してみてはいかがでしょうか?
森に入ったとき、自分が森を見に行ったのではなく、お客様という形で森に入り、森はあなたをどう見ているのか、森からどう見られているのか、そんな不安の中で考えを変えてみることで、自分のあり方を見直すことができます。
また動物園に行ったとしましょう。動物から見たら、私たちは珍しいお客様なのです。いろんな服を着たり、キャーキャーいいながら、猿や虎やライオン、見に行ったはずの人間達は実は、彼らから見られているのです。声をかけて呼んでみても、あきれ返った彼らは相手にしてくれません。ものをもらえるから、少しだけ嫌われないように相手にしてくれるゴリラもいますが、他の動物たちは人間をどう見てるのか、そんなことを考えて動物園を歩くのも面白いのかもしれません。
それが対人間ならば、なおさら必要なことなのです。
しかしわがままな人間達は、常に自分を主体とし、都合のいいように物事を判断します。ときにはそれが、相手にとって大変迷惑なことになりかねないのです。
そんなことを踏まえながら、時には自分を客体にして見ませんか?
ただしここで一つ注意してください。余り客体になりすぎると、人が常に自分の悪口を言っているように見え、恐怖で町を歩けなくなってしまいます。
時々でいいんです。
人々は服装や髪形を選ぶとき、自分に似合っているかどうか考えます。でもそれを判断してくれるのは、自分以外の人々なんです。日常生活の中でも、知らず知らずのうちにやっている行為なのです。決して不自然なことではありません。
ただ認識を持つだけのことなのです。